医者はもはや憧れの職業ではなくなりつつある

医師が医療訴訟で刑事事件として起訴された場合、逃亡や証拠隠滅等(すでに証拠保全されている)の疑念が無いため、身柄を拘留されることはほぼ無いが、刑事裁判においては被告人として必ず出廷しなければならない。検察が過失の存在が認められないと不起訴にした案件であっても、検察審査会で覆れば出廷して裁判を受ける義務を負う。これにかかる精神的苦痛と経済的損失、さらには報道等によって失う社会的信用は、計ることができない。もちろん裁判の結果無罪となった医療者に対してである。

これらの医療者が今後置かれる環境を考えると、医師の精神的萎縮のみならず、もっともリスクの多い職業となることは間違いない。私の仕事であるSEOコンサルティングもかなりのリスクはあるのですが・・・。産科医の医療事故等に対して経済的セーフティーネットがしかれているが、刑事裁判の被告になる可能性の高さを考えると、もはや優秀な若者にとって憧れの職業ではなくなる。

医療消費者から見れば、一見安全性の高まるシステムと映るかもしれないが、患者を助けるために患者と一緒になって少々のリスクを乗り越えようという医師はいなくなるだろう。医師の萎縮現象で、患者が最も不利益を受ける部分かもしれない。

患者が医療を受ける時には薬を服用しても副作用が必ずある。手術には必ず危険が孕んでいると言うのが、むしろ常識ではないだろうか。こう言う制度は必ずしも否定はしないが、乱用を阻止する制度も必要である。

(中略)

野路正典裁判官は「医師でありながら犯行を主導、繰り返した責任は重い」として、懲役2年6月(求刑・懲役4年)の実刑判決を言い渡しました。まだ判決が確定したわけではないので、医療審の処分はできませんが、医師免許取り消しや、医業停止5年などの重い処分が課せられることになるでしょう。医療機関によっては生保の入院患者を居座られるのではと、敬遠するところがあります。またその反対もあります。

生保の患者さんの医療費は100%税金で補填されます。制度ですから入院拒否をしてはいけない。しかし一方、過剰な医療をしてはいけないが、雨露凌げて三食付と言うことで表面に出ないという患者事情があるため、このような事件が後を絶たないのです。

ただ「生保の患者さんが多く入院しているからあそこの病院はおかしいよ」と決め付けるような風潮が生まれる危険もはらんでいます。その結果、生保患者の多い病院の倒産や、それを嫌って生保患者拒否という医療機関も出かねません。こういう事件がゆがめられた社会的問題に発展しない冷静さも必要です。

参考サイト:医療裁判、医療訴訟に関する話題